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ヴェルサイユの花 ~Fleur de Versailles~                         

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2011年 02月 24日

ロザリーの本名


ロザリーはコンシェルジュリで最後の日々を過ごしたアントワネットの世話係として
フランス革命の舞台に登場し、歴史にその名を残しました。
しかしその存在はほとんど知られていません。



ロザリーの本名_e0190118_0304650.jpg



この絵はルドゥーテの薔薇です。
ロザリーに捧げるつもりで。



我々の知るロザリーの名前は " ロザリー ラモリエール " ですが



彼女の本名が実は マリー・ロザリー ドゥラモリエール " Marie-Rosalie Delamorlière "
だったということがわかりました。



フランスのマリー・アントワネットファンのホームページ 
" Le Boudoir de Marie-Antoinette " で知ることができました。



このホームページを教えて下さったくみさん、
くみさんのおかげです。本当にありがとうございます。
Merci beaucoup !



文盲であった彼女 (まだまだ識字率の低かった時代です) は
後年、王妃に仕えたコンシェルジュリのことを述懐しています。(ロザリー29歳の頃)
彼女の証言は1824年に出版された Lafont d'Aussonne 氏の伝記に
収められているようです。



日本ではなかなか目にすることが難しい貴重な資料が
本国フランスにはまだまだたくさんあるのだろうな~
とため息をついてしまいます。



以下 ≪ ≫ 内太字文章ホームページの記事より筆者要訳

≪ 革命下、ロザリーは自身の名前 " マリー・ロザリー ドゥラモリエール " の
ファーストネーム " マリー " がマリア様を想起させるということからマリーを隠し
名字のドゥラモリエールの " ドゥ " が貴族の名前に付くドゥ(de) と
同じ響きということから " 貴族出身 " と思われるのを避けるため
ドゥラモリエールからドゥを消してラモリエールとし
以降ロザリー・ラモリエールと名乗ります。 " Rosalie Lamorlière "

ブルトイユ生まれのマリー・ロザリー ドゥラモリエールは
初め、王党派のマダムボーリューの部屋付き女中として働いていました。
ルイ16世の処刑後、その死を悼みながらマダムボーリューも亡くなると
彼女の息子で同じく王党派であったムッシュ ボーリュー(以下ボーリュー氏)は
コンシェルジュリの看守であったマダムリシャールにロザリーを託します。

牢獄で受刑者の世話をする仕事が嫌だった彼女は
ボーリュー氏の革命裁判から不幸な人々を守るべく
無償で弁護をする姿を目の当たりにし
やがて無実の罪で投獄された多くの人々の為に
コンシェルジュリで働くことを受け入れます。

そうしてタンプル塔から移送されて来た王妃の
世話をすることとなったのでした。 ≫




ロザリーはセカンドネームだったのですね!驚きました!
本名を伏せていたんですね!



革命下のフランスの宗教事情を知れば
前述の記事でもマリア様のことに触れているように
彼女が名前を隠さざるを得ない状況だったことが理解できます。



フランスでは教会は国王の支配下にあったため
革命において教会の国有化、聖職者の公務員化を図り
反バチカン政策をとりました。



この時 「聖職者民事基本法」 なる憲法に
宣誓を拒否した司祭 (反革命派) のことを
我々もよく耳にする 「宣誓拒否司祭」 と呼んでいたのです。



アントワネットも遺書に
「私はローマ・カトリック教徒として死に臨みます。宣誓司祭の秘跡は受けません。」
とハッキリと遺しています。



前回の記事でハミルトンの絵画を扱いましたが
そこにアントワネットの傍らに聖書を持って佇む司祭が描かれています。
アントワネットは自身の誓いどおり宣誓司祭から顔を背け
新政府が作った宗教などカトリックとは認めないという意思表示をしています。
最後のせめてもの抵抗だったのでしょう。



ノートルダムでは聖母マリア像にとって代わって自由の女神像が据えられました。



こういうことからファーストネームであるマリーを隠したのですね。
きっと彼女だけではなかったことなのでしょう。



それにしてもロザリーって
とても詩的で美しい名前だと思いませんか?
語源はやはりローズ(薔薇)のようです。




余談ですがアメリカの私のホストファミリーの
おばあさんの名前がローズでした。
ローズやロザリーは最近あまり聞かないので
今では古風な名前なのでしょうね。
ロザリーはローズほどではなさそうだけど。(笑)



そういえば映画タイタニックでケイト・ウィンスレットが
演じたのもローズという名前。
映画の中でローズは婚約者からナナ (Nana) と呼ばれていました。
前述の私のおばあさんもニックネームはナナでしたので
どうやらローズのニックネームはナナのようです。



ところで私はディカプリオより婚約者役のビリー・ゼーンの方が好きで
彼観たさに映画館に3度も足を運んだおめでたい人間です。(笑)





ポエティックな名前の彼女を想像しながら寝ます。
ロザリーが夢に出てきそうな気がします。

by pinkfleur | 2011-02-24 00:01 | アントワネット関連・人・事


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