2010年 05月 30日
テニスというと真っ先に浮かぶのは、やっぱりウィンブルドンでしょうか? 私にとってテニスの聖地とは、美しいグリーンの芝のウィンブルドンも大好きなのですが、フランス・パリ郊外ブローニュの森にある「ロランギャロス」です。 グランドスラム開催地の中で、唯一観戦したことのある思い出深いスタジアムです。 記念のパンフレット テニスのグランドスラム、世界4大大会の一つ、全仏オープン開催地 –Roland Garros – ロランギャロス 現在その全仏オープン真っ只中、クルム伊達公子選手が1回戦を突破したものの、残念ながら2回戦で敗れてしまいましたね! ずい分昔の話ですが、ロランギャロスに行きたい!と宿泊していたパリのホテルのスタッフにお願いしたところ、なんとセンターコートのチケットを手配してくれたのです! おかげで観戦することができました。あの時は本当にうれしかった!Merci beaucoup! その時のチケットです。まさかブログで日の目(?)を見ることになるなんて! そのスタッフから「記念にピンバッチを買ってきてほしい」とお金を預かり、「お安いご用!」と帰って手渡すと、「僕も本当は行きたかった!」とうれしそうにピンバッチを眺めていました。 テニスはフランス人にとって、サッカーに次いで人気の高いスポーツなんだそうですね。 8世紀フランスで生まれたテニスの原型といわれるゲームはその後、手のひらやグローブでボールを打ち合うことからジュ・ド・ポーム(仏語 jeu 遊び paume 手のひら、手のひらゲーム)と呼ばれ、王侯貴族の間で流行します。 17世紀に入り、ルイ13世がヴェルサイユに建てた球戯場(1630年建設・現在の体育館のようなもの)を息子のルイ14世は、ヴェルサイユ宮殿が完成(1682年)する2年前の1680年に取り壊してしまいます。宮殿建築の際、何か理由があったのではと思います。 ・・・単に邪魔だったのかな。 このルイ14世が取り壊した球戯場の遺構が2007年に発見されたそうです。 こちら ↓ ヴェルサイユ宮殿が所有する絵画の保管場所(地下)増設工事中に発掘されたそうで、場所は宮殿向かって左の隣接地、ルイ14世が取り壊した後、軍事病院だった所。 ビリヤードを好んだルイ14世ですが、やはりジュ・ド・ポームもたしなんでいたようで1686年、宮殿からすぐの場所に球戯場を造っています。 後にこの球戯場は、世界史でおなじみ「テニスコートの誓い」の舞台となりました。 1789年6月20日、フランス革命(1789年7月14日)勃発直前、第三身分の代表者たちが国王に国民議会を認めさせること、そして憲法制定が実現するまで議会は解散しないということを誓い、結束を固めた場所。 ジャック・ルイ・ダヴィッド作 「テニスコートの誓い Serment du Jeu de Paume」 中央で立って手を上げているのが議長「バイイ」 彼から右に4人目、両手を胸に当て顔を上に向けているのが「ロベスピエール」 さらに右3人目、左手に帽子を持ち右手を上げているのが「ミラボー」 そしてその隣が「バルナーブ」 (弁護士バルナーブは、国王一家のヴァレンヌ逃亡事件の際、パリへ連れ戻される一家の馬車に同乗する人物。実際一家と接した彼は、醜聞まみれの一家像(とりわけマリ-・アントワネット)とはかけ離れていることを知り、以降王一家を庇護する立場を取るようになります。) 今あげた4人の誰一人として、革命後を生き延びることはできませんでした。 ミラボーは革命の大嵐が吹き荒れる前(1791年)に病死。 残る3人はギロチン死します。 彼らだけでなくこの日、球戯場にいた革命家の一体どれくらいの人達が、その後の人生を全うすることができたのでしょうか。 皆、若かった(若くない人もいましたが)、若さと熱気が満ち溢れたこのヴェルサイユの球戯場において、この日この瞬間に、実は革命の火蓋が切って落とされたのではないでしょうか。 この球戯場は現存し、見学することができます。 こちらがその球戯場(ウィキペディアに内部写真が掲載されています→球戯場の誓いで検索してみて下さい) 地図を載せてみました。赤い目印のところ。 球戯場 "La salle du Jeu de Paume" 拡大 さらに拡大 ヴェルサイユ観光局のホームページによると、ガイド付き見学となり要予約とあります。 8月28日までは催行されるようです。(それ以降の日にち未表示) 毎週土曜日 15時から 料金 大人8ユーロ 子供4ユーロ(8~17歳) 球戯場(Salle du Jeu de Paume)住所 1 rue du Jeu-de-Paume, 78000 Versailles ヴェルサイユ観光局HP ← クリックしてみて下さい ヴェルサイユ観光局でも予約はできるようですが不確かですので、HPからメールで問い合わせをされる方がよいと思います。 また、ヴェルサイユ宮殿にも同じくダヴィッド作、未完成の「テニスコートの誓い」が展示されています。 先に掲げた絵との位置関係からすると、右端の美男子はミラボー伯・・・ということですね??え~?! 話は現代のテニスに戻りまして・・・ 球足の遅いクレーコートでは試合時間が長時間に及びがちなため、相当なスタミナを要求されるロランギャロス。 芝コートでは球足が速くなり、サーブアンドボレーといわれるプレースタイルのウィンブルドンでは、瞬発力や強力なサーブが不可欠。 どちらもそれぞれに魅力的(あ、全豪や全米のハードコートもね!)。 このグランドスラム、最初に開かれたのは1877年ウィンブルドン選手権。 ウィンブルドンというと白のウェアにシューズがお約束となっています。 初めてウィンブルドンのセンターコートに立って、片膝をちょこんと曲げてロイヤルボックスに会釈をする伊達公子さんの姿を昨日のことのように憶えています。 しかし私にとってのウィンブルドンは、ダイアナ元皇太子妃です。 ピート・サンプラスのファンだったダイアナさん、ロイヤルボックスに立って微笑んでいた姿は忘れられません。 イギリスでも若い人の中には、もはや彼女を知らない人がいるそうです。 全仏は今日で折り返し、全英は6月21日から始まります。 久しぶりにテニスをやってみたくなりましたが、ラケットは実家、テレビ観戦を楽しむことにします!
by pinkfleur
| 2010-05-30 16:15
| ヴェルサイユ宮殿
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